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PITTI UOMO 109 REPORT “MOTION”
PITTI UOMO 109 Report “MOTION”
今年もイタリアフィレンツェで開催されたPITTI UOMO 109へ行ってきました。
今回は26AWシーズン向けのコレクションになります。750を超えるブランドが集まり、特に初日、2日目の賑わいは近年でも一番と感じるほどの盛り上がりをみせていました。海外バイヤーの割合は47%に上り、PITTI UOMOは今もエネルギー溢れる世界的な展示会だと再認識させられます。今回はこちらも世界的な生地展であるMILANO UNICAが翌週に控えていたことで、より人々がイタリアへ集中したかもしれません。最近控えめだったアジア圏のバイヤーも今回は多かった印象です。
テーマは”MOTION”。ここ数回のPITTIでは静から動に転じたような躍動感のあるコレクションの流れをレポートしていましたが、今回もテーマに表れるようにファッションの歓びや楽しさを表現するような素晴らしいコレクションになっていました。ドレスアイテムの素材をメインにレポートしたいと思います。
今回まず感じたのはウール素材のアイテムの多さです。ドレスアイテムはもちろんですがダウンをはじめカジュアルアウターなど、あらゆるアイテムでウールの提案が目立っていました。ウールの利点として上品に映る見た目の質感の高さ、なめらかな肌触り、暖かさ・吸湿・防臭などの機能性があります。さらにきめ細やかな霜降りの柔らかな色味はウールにしか出せないもので、今回も多かったグレーやベージュトーンのコレクションではウールにしか出せない色味の素晴らしさを改めて実感しました。カシミアも同様に大注目の素材で、今回の特筆すべき点の一つです。カシミアは繊維が細い故にウールよりも更に柔らかな霜降りの色味を表現できるので、いま主流のグレートレンドを表現する上で最強の素材と言えます。素材としてはカジュアルブランドが多く出展しているのでコットンの打ち出しも多かったです。コーデュロイはここ最近は安定して打ち出しが多いですが、今回は特に目立っていました。素材に関しては、総じて天然素材が目立っていた印象です。
柄は圧倒的な無地トレンドの中で、メランジやドネガルなど表情感や奥行感のある無地調の打ち出しが目立っていました。これもウールだからこその表現と言えます。こういった柄の素材をヴィンテージライクになり過ぎず、すっきりモダンに仕立てている点もポイントです。
グレンチェックも重要な柄になっており、白黒のものだけでなく、ブラウンやベージュトーン、ネイビートーンのものも多かったです。基本的に柄物はトーンオントーンで構成され、上品にまとまったものが主流です。
色味についてはダークブラウン〜タンブラウン〜淡く柔らかなブラウンまで、ブラウンのグラデーションが主役になっていました。25AWからその傾向があったので26AW〜はトレンドしてはピークになっていくかもしれません。また、今回のトレンドを経てスーツの定番カラーとしてもさらに定着していくと思われます。
続いてグレートーンです。こちらはベージュなどのナチュラルカラー一辺倒だったところから、26SSくらいからはそれと同等くらいボリュームが出てきているので、今後さらにグレートレンドは広がっていきそうです。トーンは上品なライトグレーから引き締まったチャコールグレーまでバリエーション豊富です。後ほど少し触れますが、落ち着いていて上品な色味、デザインのアイテムは高単価のカテゴリーでは重要なポイントになっているので、その点でも今後霜降りグレーは外せないカラーになってくると思います。
そして近年の鉄板であるダークネイビー。濃い色はきっちりとした印象になるので、ネイビー無地のスーツでも2-3種類のトーンのものを使い分けて着こなしたら素敵だと思います。
最後にブラック。ホワイトとのモノトーンコーデやグレーと合わせた都会的なコーデなど、26AWはブラックもキーカラーの一つになると思います。
挿し色ではバーガンディが最も目立っていました。近年の挿し色トレンドだったパープルやピンクの流れを汲んだ系統だと思います。一見派手な色ですが、スーツのグランドカラーになるグレー、ネイビー、ブラウンどれとも相性が良いので、ニットや小物であれば意外と使い回しの効く色かもしれません。
他にはグレイッシュなグリーンやくすんだオレンジなども目を引きました。ちなみに翌週のMILANO UNICA(27SSコレクション)では春夏向けコレクションということもあり、ややくすんだオレンジやイエロー、ピンクなどが挿し色として目立っていました。
ウールを生地に使用していることもあり、全体的に上品なコレクションが増えている傾向にあると思います。安くても品質がある程度高くトレンド性も備えたアイテムが世界中で買える世の中になり、高単価のものに対しては本質的に価値のあるもの、本物志向、時代が変わっても廃れない上質・上品志向のような消費者のマインドが世界的に定着してきているので、各ブランドは単価が上がっても”拘りの一着”を作り込むようになってきていると感じます。
ハイブランドのコレクションを見ても主張しすぎないアイテムやデザインがいまの主流なので、自然体でエフォートレスなスタイルを好む時代感ともリンクして、こういったファッションの方向性もしばらくは続きそうです。そう考えるとウールの重要性は今後ますます高まっていくと思われますが、生地屋の視点では直近の原毛高騰や生産量の減少などウールの生地原価は高くなる一方なので、”いまが買い時”みたいになってしまわないよう願いたいところです。
Words: Takuya Ito












