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PITTI UOMO 108 REPORT
PITTI UOMO 108 “PITTI BIKES”
26SS向けのPITTIへ行ってきましたので、内容を簡単にご報告します。
今回の訪問者は15000人ほどで海外からのバイヤーが増加していたようです。特に二日目はかなりの賑わいで、コロナ後は回を追うごとに賑わいやエネルギーを取り戻しているように感じます。
今回のテーマはPITTI BIKES。自然、躍動、冒険、日常といった要素が込められたようなコレクションでした。一年前のPITTI(25SS向け)から、静から動に転じたような躍動感のあるコレクションが展開されるように感じていましたが、今回もその流れを引き継ぎよりアクティブな志向を感じました。
クワイエットラグジュアリーと言われるような上品で洗練され、本質的な価値のあるファッションがコロナ後の市場を牽引してきましたが、それに加えて明るさや楽しさ、遊び心、異なるテイストのミックス、ライフスタイルとの融合など、プラスアルファの要素が今の流れだと言えるかもしれません。
そしてもう一つ大きく注目したい点は、テーラーリング(特にスーツやセットアップ)の復活です。一時はカジュアル方向に大きく振れたPITTIでしたが、じわじわと戻ってきていたスーツスタイルは今回来場者の装いも含めてかなり目立っていました。私たちとしては嬉しいトピックです。戻ってきた理由はシンプルに格好良いから、これが一番かと思います。そしてスーツを着ることで普段の着こなしとのメリハリも生まれ、ドレス-カジュアルとそれぞれが引き立つような、そんな感覚もあると思います。四季を楽しむような。近年の流れでカジュアルスタイルを楽しんでいた方も、そろそろドレススタイルも恋しいな、みたいに感じていた方も少なくないのでは?!と個人的には感じています。
スーツスタイルの提案としては大きなトレンドというよりは、色んなスタイルを自由に楽しんでこそのファッションの醍醐味みたいな時代なのかなと感じます。クラシックやヴィンテージ、ミックス、リゾート、スポーツなど。逆に共通点として仕立ての軽やかさが挙げられると思います。芯地を極力省いた見た目も着心地もライトな仕立て、ただしテーラリング技術を駆使した立体的で美しいシルエット、細部への拘りや上質な天然素材を用いたクラス感などは重要なポイントになりそうです。
生地に注目すると、フレスコ素材の打ち出しは特に目立っていました。上記のような仕立ての場合、生地が薄いと芯地なしでは美しいシルエットを作ることが難しく、フレスコのような肉感とハリコシ、ドレープ性、プリっと弾力のある素材が好相性となります。素材はどクラシックなフレスコで<軽やかにモダンに仕立てるスーツ>というのは実用的でもあり、来春夏のおすすめスタイルと言えるかもしれません。スーツに限らずブルゾンやシャツジャケット、パンツなど色々なアイテムでフレスコが採用されていたことも今回の傾向でした。ちなみに26AWの生地展であるミラノウニカでも肉感と弾力のあるウール素材はトレンドとなっており、聞くとブランドからのリクエストが多かったようでこの傾向はしばらく続きそうです。
これはスーツを中心としたドレスアイテムに絞ったポイントですが、全体としては素材の一大トレンドであるリネン、シルク混など高級感あるブレンド素材は引き続き注目です。総じて言えるのは、今回の特徴の一つとして天然素材の多さは今までに増して多くなった印象です。弾力のある軽量ウール素材でのブルゾンやカバーオールなどの提案はとても多かったです。いつも通りリネンやコットンの提案が非常に多いのは確かですが、ドライタッチのウール素材を使用したアイテムが目立っていたことは今回の傾向でした。
カラーはブラウン、ライトグレーが来春夏のベースカラーとなりそうです。ブラウン系は豊富なバリエーションで展開されており、特にオレンジがかったタンブラウンや、淡いピンクブラウンのような色は目を引きました。
ベージュのグラデーションも継続して提案は多かったですが、ライトグレー(またはグレーのグラデーション)がより新鮮に映りました。ホワイトも引き続き重要なカラーです。ネイビーは黒に近いダークネイビーが近年の傾向です。前回から目立っているグレイッシュなトーンも継続しているので、明るめの(ややグレー寄りの)ブルーグレーはその代表格となっていました。挿し色としてはピンクやティールグリーンなどがポイントとなりそうです。
色柄では無地が圧倒的に多く、街中のショップや来場者の着こなしを見ても同じような傾向でした。近年あまり売れ行きの良くないストライプですが、メインビジュアルの提案としてストライプを使用しているブランドもそこそこあり、ジワジワと存在感が高まっているので、普段無地のスーツが多い方はストライプをチョイスしてみるのもおすすめです。
また、スーツの着こなしは気張らず自然体に、エフォートレスな着こなしが復活したスーツの求められているイメージと言えると思います。
MATSUKIの26SSコレクションでは、PITTIでの流れも踏まえたトレンド企画、長く着られるような上質で上品な素材を多く取り揃えております。また、新たなバンチシリーズのリリースも予定しており、オーダースーツやファッションをより一層楽しんで頂けるような仕込みをしています。
まずは秋冬コレクションが8月中旬頃からリリースされていきますので、ぜひお店や弊社サイト<myBESPOKE>にてコレクションをチェックしてみてください。
Words: Takuya Ito