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PITTI UOMO 107 REPORT
“PITTI FIRE”
今年も1月中旬にフィレンツェにて開催されたPITTI UOMO 107 (25AWシーズン向け)に行って参りました。
来場者は2万人に迫る数で前回から120%程増加しており、コロナ後は年々増加しているという傾向です。(出展ブランドは約790)
イタリアを除くバイヤー来場者の上位国は、ドイツ、スペイン、英国、オランダ、トルコ、日本、米国、フランスです。
これはメンズウェア業界やドレスウェアの未来について、国際的に意欲的な姿勢が反映されているものだと感じます。
今回のテーマはFIRE。変革期にあるドレススタイルやメンズファッションの在り方について、新たに創造していく意欲や本能的でチャレンジングな姿勢を表しているように感じました。各ブランドもそのような今の温度感を体現するような素晴らしいコレクションが多く、細かな変化を感じられる展示会となっていました。
ラグジュアリーカテゴリーではQuiet Luxuryという言葉も生まれ、落ち着いていて自然体、そして上品なスタイルが近年のトレンドになっていましたが、今回はそれをベースに綺麗なカラー、ニット、デニムなどテーラードとカジュアルを上手く融合させたような提案が打ち出されており、スタイリングの進化を感じました。
その筆頭はブルネロクチネリで、<アナムネシス(想起)>というコレクションテーマのもと、従来のライトグレーやライトベージュのグラデーションをベースにバーガンディやパープルなど美しい色を加えたコーディネートが新鮮でした。最近は市場にも定着し他ブランドでも多く見るようになった従来の”Quiet Luxury”なコーディネートを昇華させたような打ち出しは、今後のトレンドを導いていくような素敵なコレクションでした。
クラシックなスーツスタイルは前回コレクションから復権の兆しがあり、ただニットなどカジュアルなアイテムと組み合わせたスタイリングが主流で、自然体で生活に馴染むスタイルが好まれる現在の流れが反映されたものになっていました。
スーツについては世界的に見ても、ビジネス一辺倒だった用途から多様な解釈が浸透してきている段階で、これまでのルールに捉われないような提案は今後スーツの可能性を広げていくものだと思います。
こうした流れだからこそ、原点とも言えるクラシックスタイルが輝いてみえてくるのもファッションの面白さ。どのようなスタイリングであれ、良い仕立て、上質な天然素材は各ブランドでベースになっており、その上でカラーやコーディネートで時代をとらえていくというのが、スーツを取り巻く大きな流れだと感じます。
カラーの傾向は挿し色としてバーガンディ/ パープルは25AWの大きなトレンド。ベースカラーは淡いグレー系のナチュラルカラーのグラデーションは継続しつつ、ベージュからブラウンといったこれまでより色味の濃いものの提案が新たに増加していました。ブラウンは重要なカラーになると思われます。ネイビーはダークネイビーの提案が多く、同色またはモノトーンで合わせるなどグレー系の柔らかいコーディネートとは対照的な世界観を演出していました。
他にはグレイッシュカラーが注目で、グレイッシュなグリーンやブルーグレーなどはその代表格です。
Quiet Luxury + アクセントというのが25AWの流れかも知れません。
また、クラシック、ラグジュアリー、カジュアル、スポーツ、日常などこれまで独立したカテゴリーだったものを融合させていこうという気概もコレクションから感じ取れます。
確かにあらゆるものの区分けが緩やかになっている現代では、その流れがファッションに届くのも必然かもしれません。
それと同時に本物志向のマインドも高まっているので、歴史や技術、感性に裏打ちされたもの、実用的かつ芸術的に複数の要素を融合させたもの、逆に一つの要素に専門的に特化したもの、などはっきりとした個性と実力を伴ったコレクションブースが特に人気が集中していたことも今回の傾向です。
25AWのMATSUKI コレクションでは、現実的でいてより上質な素材のシェアを高めています。お客様の一着にかける想いの比重が高まっていると感じているからです。それに加えて、スーツ作りの楽しさを体験して頂けるよう、上記のトレンドも踏まえた多彩なコレクションを仕込み中です。
少し先になりますが、25AWコレクションの立ち上がりを楽しみにお待ちください。
Words: Takuya Ito