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PITTI UOMO 106 REPORT
PITTI UOMO 106 REPORT
“PITTI LEMON”
今年も早いもので気づけばPITTIの季節です。6月のPITTIは来年2025年春夏シーズンの展示会で今回もじっくりと回ってきました。
来場者数は15000人に登り、海外からの訪問の割合は46%となっていました。コロナ回復後は回を重ねるごとに来場者数は増加傾向で、取りわけ海外からの訪問のシェアが特に高まっています。グローバルなファッション展示会として、PITTIは依然として重要な役割を果たしているのだと思います。
今回のテーマはPITTI LEMON。イエローはエネルギーに満ち、希望や幸福を象徴する色ですが、会場全体でそんなフレッシュな活力を感じる提案や打ち出しが目立っていました。加えて自然との調和も大切なメッセージです。
24SSシーズンはエクリュを軸としたホワイト〜ベージュのグラデーションがキーポイントになっていましたが、25SSではこの上品なナチュラルカラーのグラデーションの重要度は継続しつつ、カラーの打ち出しもはっきりと増えていました。
ダークネイビーからサックスブルーまで、ブルーのグラデーションは一番のインパクトがありました。ダークネイビーとホワイトの上品モノトーン、ブルーグレーのセットアップ、淡いナチュラルカラーの差し色にサックスブルー、エレガントなリゾートを連想するエメラルドブルーなど、ずばり25SS風コーディネートの鍵はブルーの使いこなし方になると感じました。
メインカラーとしても差し色としても使えるブルーは非常に取り入れやすいカラーであり、来季は既に持っているアイテムも含めて色々なコーディネートを楽しんでみるのは如何でしょうか。
その他のカラーでは瑞々しいモスグリーン、オレンジベージュやイエローベージュ、濃淡のバイオレットピンクなどがトレンドカラーと言えそうです。大きくは継続のトレンドカラーですが微妙なトーンがシーズンで変化している印象です。
自然との調和や落ち着きを感じた24SSから比べると、そのベースを基調にして海や森、フルーツなどを連想する明るいカラーが加えられ、”動”を感じるコレクションになっており、25SSシーズンはよりアクティブな志向がファッションに込められていると言えるかもしれません。
ドレススーツのカテゴリーについては、テーラードブランドの出展減少は寂しさを感じるものの、今回テーラーリングアイテムは復活の兆しで、スーツやセットアップの露出は非常に高かったです。シャツジャケットが提案の主役だったここ数年を経て、ドレッシーな形のジャケットやスーツが復権の印象です。ただし展示会ということもありますが、素材はリネン系が圧倒的で、リネントレンドはしばらく続きそうです。よりドレッシーなカテゴリーでは、シルク混やモヘア混、フレスコなど、上質な天然素材やクラシックかつ洗練された素材というところが大きなポイントになりそうです。
その他ではオルタネートやカラーストライプのシャツも多くのブースで見られ、中でもやはりブルーを取り入れたシャツやネクタイなどが目を惹きました。
スタイルとしては余計ないじりを加えないストレートなクラシックスタイルを基調とし、素材や色使いで洗練さと新しさを表現していくというのがドレスの25SS的着こなしになっていくと思います。
スーツの概念は本場であるヨーロッパを中心に確実に変わりつつあり、リネンスーツの提案もその象徴的な例だと言えます。私たちの日本でも、特にオーダースーツの分野ではTPOを押さえた上で、より一層”ファッション(スーツ)を楽しむ”という要素をもっと高めてもいいのかなと感じています。そんな気になるような、エネルギーに満ちた今回の展示会でした。
MATSUKIの25SSコレクションでは、PITTIを彩ったキーカラーを沢山盛り込み、そしてこれまで以上に上品でラグジュアリーな天然素材にも注目してラインナップを仕込んでいます。今回は新たな生地ブランドも幾つか加えており、PITTIに負けないような明るく楽しさに満ちたコレクションを展開していきたいと思っております。来年の立ち上げを楽しみにお待ち頂けましたら幸いです。
Words: Takuya Ito