news
PITTI UOMO 110 REPORT “POOL”
先日フィレンツェにて開催されたPITTI UOMO 110 “POOL”へ行ってきましたので報告いたします。現地へ到着すると灼熱の晴天でカラっと強い陽射しが肌を焦がしていきました。世界的にも高温化している春夏シーズンにドレススタイルとしてどのような提案がされているのか、興味深いところです。
今回は27SS向けのコレクションで、POOLというテーマのもと各ブランドが想いを馳せた涼しげな?コレクションが集結していました。
来場者は前回冬のPITTIと比べて少し減少したようですが、日本人バイヤーの数は増加するなど相変わらずの盛り上がりをみせていました。暑さもあり仮装大賞的な方の来場が大きく減少した一方で、バイヤーの方などコアな層は依然として多く来場されていた印象です。
“暑さは障害ではない、スタイルを洗練させる物語の一部” PITTIはコレクションを通してこのようなメッセージを語っているかのように感じました。暑いならそれに相応しいスタイルを築いてこうという気概を各ブランドから感じ、ファッションの面白さや奥深さを改めて体感できました。
ここ2シーズンくらいはスーツスタイルが復活しテーラードの提案は多くなっていましたが、今回もその流れは健在です。復活というより、特にイタリア人にとっては永久不滅なものなのかもしれません。ただしスーツスタイルも留まるのではなく時代と共にアップデートされており、この点をいくつかレポートできればと思います。
スーツの用途が広がりをみせる中で、それぞれに適したスタイルが提案されていました。
<ビジネスシーン>
ダークネイビー、ブルーグレー、ミディアムグレー、ライトグレーをベースとした無地調素材での提案。
需要の減少で王道スタイルに集約しているような印象。
グレートレンドによってライトグレーの提案は増加傾向。
バンカーストライプのようなクラシックなストライプはいよいよ実需トレンドとなっていきそうな予感。
革靴とネクタイで合わせて正統派コーデ、スニーカーとスタンドカラーでコンフォートコーデ、などコーディネートで変化をつける提案も多かった。
主流の軽い仕立てでも抜群のシルエットを魅せるフレスコ素材は引き続き重要。
落ち着きと信頼感をもたらす上質なウール素材が中心。
シルエットは余裕のあるジャストフィット。
脚を長くみせるように股上はやや深め、硬すぎず軽やかな印象を作るため袖はやや細め。
シャツはレギュラーカラーなど、クラシックかつミニマル&上品な印象のものが多い。
4つボタンのダブルブレストは今回の注目スタイル。(ドレカジ共通)
<ビジネス以外のドレスシーン、休日のドレカジスタイル>
リネンのカスレが涼しげなウールリネンなど、リネン素材を中心に展開。
軽量ウールやシアサッカーも重要素材。
自然に溶け込むようなナチュラルカラーが基本で、柔らかなココアブラウン、タンカラーのような浅めのブラウン系と淡いベージュ系がベースカラーの中心。
これまで目立っていたグレイッシュ系とは別のフォレストグリーンと言われるような深みと鮮やかさのあるグリーンが目立っていたのは新たな色傾向の一つ。
挿し色には少し兆しのあった淡いオレンジ系が今回の中心。
淡いピンクと澄んだ空のような淡いブルーはオレンジと並び引き続き注目カラー。
セットアップの提案が主流。2パンツで一つはビジネス向け、一つは休日向け、のようなパンツデザインでスタイルを変化させる提案も目を引いた。
生地組織はフレンチカルゼやスラブ感のあるものなど素材の表情があるものでリラックス感を演出。
基本的にはワントーンで上品にまとめたものが多い。
デニムやデニム調の素材はトレンド。それによってブルー系のシャツを合わせたり、ライトカラーをネイビーで引き絞めるようなコーデも多かった。
軽い素材×芯地なしの一枚仕立てなども多く、きつい陽射しから身体を守る袖モノの提案は一つの解となっていた。
ノータックでリラックスストレートのパンツなど、リゾートテイストな打ち出しもキーポイント。
ドレカジの提案ではポケット数や装飾の多いジャケットも多かったがそれが少なくなったり、引き算が始まってデザインも無駄を落として洗練されてきた印象。
<サヴォアフェールの領域>
クチネリやカルーゾなどハイエンドなブランドは極めて柔らかく軽い毛芯を使用した優雅なパターンと、モヘアやシルクなどの高級素材をギラつかせず自然な雰囲気に落とし込んだ提案でクラシックの在り方を示していた。
時代を紡ぎ、積み重ね磨き上げられた技術と感性は本質的な価値となって圧倒的な美しさと存在感を放っていた。流行の移り変わりの激しい時代であればあるほど、こういったブランドや商品の価値は今後も高まっていくと思われます。
コレクションの大きな流れとしてはこれまでの流れに沿っていた印象ですが、ビジネスにはビジネスに求められるものを、その他にはそこで求められるものをといったように、時代の変革期として横に広がりをみせていたドレススタイルの提案から、ピントを合わせて縦方向にも深掘りが見えてきたように思います。
唐突ですがここでこれからの暑い季節におすすめの素材を発表したいと思います(笑)
ズバリ、リネンとウールです。リネンは高い吸湿性、吸水性、通気性、速乾性を誇りサラッとした状態を保ちやすい素材です。ウールは”暖かい素材”というイメージが強くそれも事実ですが、高い吸湿性があり、あの夏のジトジト感を防いでくれます。天然の抗菌防臭性もあるので夏に気になるニオイとも無縁の素材なんです。フレスコ素材のような強撚のものは肌触りもサラサラするので、フレスコウールや軽量ウールの素材、リネン素材をまだお持ち出ない方はこの夏、試す価値ありかと思います。
春夏シーズンこそ装いを妥協せず、ひいては素材にも拘ってみるのもいいのかもしれません。
MATSUKIの27SSシーズンコレクションは、PITTIでの傾向も加味してカラーや素材感、機能性や用途、上質さや価格などそれぞれの観点から考えてイタリア、英国、尾州にて開発・コレクションしています。
ラグジュアリーな素材や究極クラシックなものから無重力?を感じてしまう快適性のある素材まで、踏み込んだ企画も用意していますので、来年2月頃のリリースをお待ちください。
Words: Takuya Ito







